相談2000件
生活向上へ全力
「民間委託化について」「管路などの施設の更新について」
決算特別委員会第3分科会 2020年10月8日
◆委員(平井良人)
よろしくお願いいたします。
私からは,まず,民間委託化についてお聞きしたいという風に思います。
水ビジョンの5年計画である中期経営プランの中で,第6期効率化計画ということで出さ
れています。本庁舎の移転や民間活用,人員削減がセットで計画が作られているんじゃない
かという風に思いますし,本庁舎についてはPFIでありまして,民間活用については包括
委託も始めているということの状況であります。
もちろん局方針そのものが,将来にわたって市民負担増を抑えながら,技術継承や上下水
道の安全をやるということで作られているのは確かでありますが,一方で,局の状況を見た
ときに,民間活用有りきになっているんじゃないかという風に思っていますし,令和2年
度,今年度で言いますと松ケ崎とかの浄水場の運転管理とか,水道の水質検査の一部も民間
委託するということなんかも含めて,上下水共に民間委託がさらに進んでいるという状況で
あります。
資料で頂いたんですけれども,石田水環境保全センターの運転管理業務,例えば委託拡大
について言えば,民間委託の効果は1,800万円だということでありました。額的な問題も含
めて,業務の質を担保しながらどこまで財政効果があるのかというのは,私の中では甚だ疑
問であります。こういう額を積み重ねて,局の言う根幹業務のみになれば,局のつかむ事業
範囲も非常に狭くなるんじゃないかと。何か問題が起こって,例えば再度公営化するという
ことになったとすれば,技術職員も含めて,事業をするにしても再開は困難になるんじゃな
いかと思うんですけど,まずはこの点の認識をお伺いしたいと思います。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
我々の事業の民間委託についての考え方についてでございます。
今,この厳しい経営環境の下で,上下水道事業を将来にわたり持続可能なものにするため
に,今後も公共性,経営体制を兼ね備えた公営企業において,民間との協働も進めながら安
定的に事業を進める必要があるという風に考えております。
そのため,これまでから委託につきましては,本市の経営責任の下,定型的な業務であり
ますとか民間にノウハウや実績のある業務につきましては,民間に委託してもサービス水準
の維持に支障がないというものについては,積極的に民間委託を進めてきたところでござい
ます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
いつもこの民間の話をすると最後に言われているのは,公営を堅持するということととも
に,根幹に関わる業務ということで言われていまして,水ビジョンにもこの根幹に関わる業
務の分類がされておりまして,例えば政策判断を伴う業務,公権力の行使を伴う業務,公共
性,公益性の高い業務という風にされていまして,これ自身が具体的に何を示しているか,
もう一つ分からないんですよね。三つの根幹業務の具体的中身は一体何なんでしょうか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
ビジョンに掲げております事業の根幹に関わる業務ということでございます。
政策判断を伴う業務,これにつきましては,事業全体に関する計画の策定や事業の進捗管
理等のことでございます。
また,公権力の行使を伴う業務。我々の下水道事業などにつきましては接続義務というの
がありますので,市民の方に下水道接続をしていただく義務等がございますので,その辺の
,あるいは調査する立入り業務等がございますので,そちらにつきましては直営でやるべき
かという風に考えております。
また,公共性,公益性の高い業務。これは我々の事業そのものが公益性の高い業務でござ
いますけれども,その中でもしっかりとやっていく部分については引き続き直営で実施した
いという風に考えております。
◆委員(平井良人)
三つ目の公共性,公益性の高い業務について,よく今の回答では分からなかったんですけ
ど,もう少し詳しく教えていただけますか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
我々の業務につきましても委託化できるものについては委託するということで先ほど答弁
させていただきましたけども,この公益性,公共性の高い我々の業務でございますけれども
,その委託業務をしっかりと管理するということが我々の業務であるという風に考えており
ます。
◆委員(平井良人)
極論を言いますと管理するだけでいいということになってくるし,もちろん最低限,許可
しなければならないことや立入り業務なんかは,それは行政の権限ですからやって当たり前
だという話でありまして,結局,国が今,民間にノウハウあれば民間にということで民活を
かなり進めておりまして,そういう中で,京都市が司令塔だけの役割になったらいいわとい
うだけの話でありまして,これは,ひいて言えば現場の各事業の詳細まで見えなくなるので
はないかという風に思いますし,水の安全性なども損なわれる可能性があるんじゃないかと
いう風に見えてくるんですよね。
この点,どうお考えでしょうか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
安全性につきましてでございますけれども,当然委託化することによりまして,しっかり
と我々は業務をモニタリングする必要がありますし,根幹業務といたしましても,当然でご
ざいますけれども,市民の安全・安心の確保,これにつきまして我々の根幹業務という風に
考えておりますので,そこについてはしっかりと事業を進めていきたいという風に考えてお
ります。
◆委員(平井良人)
考えとしてはそういう風になると言うか,ならざるを得ないと思うんですけれども,実態
で言いますと,今,京都市,民間委託をどんどん進めてきているということで,問題点を
挙げさせていただきたいと思うんですけども,一つは民間委託で財政効果優先にやっている
ということでどうなっているかと言うと,やっぱり委託費そのものが,今の現局面よりやっ
ぱり委託費の方が低いから財政効果が出るということでありまして,そのしわ寄せは大体労
働者の賃金にしわ寄せが来るということではないかと思っていまして,既にそれが起こって
いるのではないかと思っています。
ヴェオリア・ジェネッツに今,検針業務の関係で委託をされておりますけども,日本全体
で180の自治体から水道メーターの検針や料金の徴収を請け負っていると。70から80の拠点
で上下水の運転管理をしているということでありまして,これは社長のインタビューが日本
水道新聞に載っていますけども,9,000人の従業員がいるということで書かれています。
しかし,この方は元々内閣府の民間等活用推進委員会の委員でありまして,正にそういう
方々の思惑どおりに民間委託が進められているということが一つと,あわせてハローワーク
の求人情報をこの間見ましたけども,ヴェオリア・ジェネッツの京都市での検診業務は時給
909円なんです。最低賃金ではないんですか。最低賃金じゃなかったとしても,最低水準
で働かせているということになってくると,自治体が行っていた賃金の安定化も含めて,自
治体自らが低賃金労働者を生み出しているということにほかならないと思うんですけど,こ
の点,どう認識されていますか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
委託先の賃金についての御質問だという風に思っておりますけれども,当局では,公契約
基本条例に基づきまして,合理的な積算に基づいて,適切に見積もられたことによりまして
,公契約の適正な履行及び履行水準並びに労働者の適正な賃金の確保に努めているところで
ございますので,法に基づいた委託がされているものという風に考えております。
◆委員(平井良人)
いや,法に基づいたのは当たり前でありまして,それは労働者の賃金を守るというのはど
この企業でも当たり前でしょ,そんなん。でも,最低水準にあるということに対してどう思
いますか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
今,委員御指摘の最低水準かということでございますけれども,我々は入札によりまして
委託業者を決定しておりまして,委託業者の,事業者の判断での賃金水準の設定だというこ
とでありますので,我々はそこまでの見解を述べるものではないという風に考えております
。
◆委員(平井良人)
はっきり言って,管理に責任を持つと言われている一方で,その労働者の,委託先の労働
者の,もちろん管理は直接できないですけども,その状況も見たうえで認識ができないとい
う話になってくるという風に思いますし,はっきり言ってその民間委託が及ぼす弊害ですね
。交通局の協力会もアルバイトの募集をやっていまして,これは910円なので,はっきり
言ってほとんどが最低水準になっているということであります。だから,今までやってきた
方々よりも賃金が下がっているというのは明らかでありますし,そういう職員の方々も含め
て労働者の環境を守るというのは当たり前でありまして,こういう水準が本当に低くなって
いるというのはやっぱり許されない話だなと思っています。
世界での話もちょっと紹介しておきます。世界では,フランスやイギリスなど,これまで
水道事業にとどまらない,PFIを推進してきたところでありますけど,こういう民営化推
進国の各都市が再公営化を始めていると。かなりの数になっていると。民営化で起こったこ
とは,国も今,政策で出していますけどモニタリング,これが結局,市民団体などの監視も
なく,株の持合いなど,これも複雑に絡み合って,財務状況が見えない下で株主配当や役員
報酬などに市民から集まったこの水道料金が流れていったということでありますし,放漫経
営の中で借入金をどんどん膨れ上がらせ,その結果,税金の支払も少なくなったと。インフ
ラの更新や整備も後れて,果ては料金や使用料への値上げにつながったという中で,市民か
ら怒りが出て再公営化の道になっていると。
やっぱりこういう最悪のパターンを生み出すということと併せて,京都市の委託有りきと
いうことが,言えば市民の方々も含めて労働条件を切り下げているということになっている
ということを是非認識していただきたいという風に思いますし,市民の生命線である水事業
,公営事業といえども経営と福祉のバランスを欠くような民間委託がされているということ
そのものが大きな問題だという風に思っていますし,今,包括委託を始めはりましたけども,
包括委託も含めて全体事業をまとめられるようにどんどんしていっているんじゃないかと。
いつでも国誘導で民営化という道筋も視野に入ってくるんじゃないかと。
こういう検討を本当にやめる必要がありますし,直営を堅持されるというのならば,やっ
ぱりそこの中身の管理も含めてきっちりやるべきですし,本当にこういう民間委託そのもの
の流れをやめるべきだという風に思うんですが,御意見を聞かせていただきたいと思います
。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
まず,この民間委託化につきましては,この間,我々申し上げておりますように直営を堅
持してしっかりやるということでございます。
ただ,この我々の事業の中で経営基盤を強化する,経営の効率化を図るために民間委託を
進めているところでございまして,民間との協働の下に安定的な事業運営をこれからも引き
続き進めていきたいという風に考えております。
◆委員(平井良人)
安定的な事業運営というのは必要だという風に思いますが,やっぱり民間委託によってそ
の道を導き出すというのはしょせん限界があるなという風に思っていますし,再度やめるべ
きだと求めておきたいと思います。
次に,管路などの施設の更新についてお聞きしたいと思います。
決算年度において,水道の老朽管の更新の更新率は1.4パーセントに引き上げられました
。事業額は大体約133億円と。更新が56キロされて,昨年からの計算で言うと残り388
キロぐらいになっているという状況であります。下水道管路の改築更新は,中期経営プラン
に示されているとおり,5年間ずっと33キロやるということで,26億円ほどの事業費が進
められて,対策が進められたということであります。今年度は更新率1.5パーセントになり
ますから,58キロの更新だという予定になっています。
この水道管路の初期ダクタイル鋳鉄管についてはいつ解消するのかということで,昨日の
答弁では2034年完了ということで言われていましたけども,いつ頃,どうなるのかという
ことであります。
また,下水道については今後老朽化が進むということでありまして,経営プランでは33キ
ロの更新を確保するということでありますけども,水ビジョンの後期年度に関しても同様の
ペースで行われるのか,また,更新のピーク時が書かれているんですけども,どの時点での
更新の規模が増えてくるのか,その際の更新費用は1年当たりどのぐらいの費用になるのか
,是非今お答えいただきたいということと,将来予測については資料でも頂きたいという風
に思います。いかがでしょうか。
◎水道部長(伊木聖児)
まず,水道管路の老朽化,今やっております初期ダクタイル鋳鉄管の解消のめどというこ
とでございます。
昨日も答弁させていただいたとおり,まずはこのビジョンの中で老朽配水管の解消率,こ
れを76パーセントまで上げていくと。それから,最終的には令和の14年度末,これまで
に100パーセントの解消を目指していくということで進めていきたいという風に考えており
ます。
以上でございます。
◎下水道部担当部長(岩崎公男)
下水道の管渠の更新化事業の方でございます。
これまでプラン上でも挙げさせていただいておりますように年間33キロということで,
約26億円というペースで進めているところでございますが,今後,先生の御質問にありま
したように方向性の話でございますけども,基本的には現ビジョンの中では同じく33キロベ
ースでの改築更新の方を進めてまいりたいと考えております。
予算ベースも同等の金額のベースで今現在,考えているような状況でございます。
以上です。
◆委員(平井良人)
下水道のところで少し聞いていたんですけども,どの時点で更新の規模が増えてくるのか
というところで,ここ10年はまず増えないということで33キロだという理解だと思うんで
すけども,増えてきて,その際に更新費用が段々変わってくるわけですから,1年当たりど
のぐらいの費用になるのかというところも是非お答えいただきたいと思います。
◎下水道部担当部長(岩崎公男)
先生がおっしゃったように,現状の話としては更新ペースも含めて同等ということなんで
すけども,一応ピーク的には20年後の令和27年度末程度が約7割ということで,約3,000
キロベースで非常に老朽管路が増えていくということなんです。
ただ,水道と違いまして,下水の場合はやはり点検整備等をきちっとやっていくことで,
そのピークをいかに遅らせられるかというのも含めて改築更新をやっていくことでございま
すので,その数字に基づいて全てが改築更新を進めて,やり替えていくという状況ではない
ということでございます。
その辺りは今後,当然,老朽化の進み具合とかを調査しながら,予算の方の編成について
も今後考えていきたいという風に考えております。
以上です。
◆委員(平井良人)
そういう意味では,水道はやっぱり管路更新をして漏水しないようにしなければならない
ということと,下水道については,少し清掃などの整備なども含めて,点検整備しながら後
らせていけるということで,費用の感じがまた違うということであります。
そういう意味では,事業継続のための国への要望というのが別に上下水道にかかわらず大
事になってくるということでありまして,水道管路の布設や布設替え,今75ミリ以下の補
助配水管もやっておられるということで,決算ベースで27.6キロと,支線配水管が33.3キ
ロということで,幹線配水管よりも非常にお金が掛かるということであります。
一方で,国からの補助は幹線配水管のみでありまして,支線や補助配水管なんかは国の補
助がなくて,多額の費用負担になっているということでありますけども,今年度の緊急管路
改善事業の実績と併せて,こういう状況でありますから,補助配水管や支線配水管について
も本当に補助がつくようにやっていくことが必要なんですけれども,そういう決意も含めて
,少し実績も御紹介していただきながらお聞かせいただきたいと思います。
◎水道部長(伊木聖児)
水道管路更新に関わる国の補助ということでございます。
令和元年,実績といたしましては,この水道管路緊急改善事業といたしまして,事業の交
付金といたしましては約1億7,000万円の交付を受けているということで,全体の更新事業
費に対する割合としましては1.5パーセント程度になっているような状況でございます。
先生御指摘のとおり,今の対象は基幹管路ということで,支線であるとか補助配水管は対
象になっておりませんが,我々としましてもこの部分の補助,交付金が頂けるようにしっか
りと要望を行っているところでございまして,今年度も,コロナ禍ではありますが,要望も
させていただいておるんですけれども,なかなか国の状況といたしまして,予算も含めまし
て,なかなかそこを広げていくというのは今のところ難しい状況であるという風に確認をし
ておるところでございます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
水道については,逆に言うとそこの突破が必要だと思うんですよね。全国的にも水需要が
落ちているということと併せて,改築更新が増えているわけでありまして,下水道について
もその率そのものがどうなるかというのはまだ不透明な状況でありますから,併せて要望い
ただきたいという風に思います。
今,そういうコロナ禍という話がありましたけど,事業損失についても非常に大きくなっ
ているということでありまして,水道,下水道事業そのものが,市民に低廉で安全な水の供
給が必要だということで,水道法にも書かれておりますけども,災害なども含めて命を守る
ための継続が必要だということでありまして,しかし,交通局の決算概要では国にもきちっ
と財源を求めていくということでされているんですけど,水道事業にあんまりそういった文
言がないんですよね。これまでどおりの国への要望を繰り返しているように見えるんだけど
も,今年度に対してはどうなのかというのをお聞かせいただきたいという風に思います。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
国に対する要望の活動についてでございます。
水道事業におきましても,施設の老朽化対策でありますとか,耐震化工事に対する財政支
援等につきまして,採択基準の拡充,国費の引上げ等を求めております。
また,下水道につきましても,今年度で終了いたします防災・減災,国土強靱化のための
3か年緊急対策終了後の国費配分についても要望しているところでございます。
今年度はコロナ禍にありますけれども,要望に当たりましては,今年度7月には京都市と
しての要望書を策定いたしまして,関係省庁や国会議員への要望活動を実施しているほか,
指定都市あるいは全国市長会を通じた要望活動,また,これまでから行っております日本水
道協会や日本下水道協会等,水道,下水道関連の事業体を通じた要望活動も行っているとこ
ろでございます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
だから,従来どおりの言い方だという風に思うんですけれども,中身をやっぱり集約して
いただいて,やっぱり減収というのは大きい額になっていますし,また,管路の更新という
のも依然として増えてきていると。
昨日の議論にありましたとおり,設計労務単価が今後上がっていくということでありまし
て,要は管路も施設も更新する際にお金がどんどん掛かってくるということになりますから
,より厳しくなるということは皆さんも予測されている話でありますし,本来なら減収はコ
ロナによる影響というのが本当に主でありまして,災害と同じ位置付けじゃないかと。国が
予備費などを使って全国の水道や下水道事業者等の支援を僕は行うべきだという風に思って
いまして,支援を行うところは国はたくさんありますけれども,やっぱり命の水であるとい
うことでありますし,前述,先ほど述べたように民間委託や,その範囲拡大なども,財政的
に厳しければどんどんやっていくという,全国的にもやっていくという方向になってしまう
ということでありますから,やっぱりそういう自治体への負担を最小限にすることが今必要
ですし,そういう全体的な費用負担の増加も加味して,大都市の枠組みも活用するし,また
,あらゆる機会にやっぱり強力に国に損失補填などの支援を求めるべきじゃないかという風
に思います。
是非そういう姿勢でやっていただきたいということを述べまして,終わりたいと思います
。
「観光の在り方について」「決算について」
2020年10月6日 決算特別委員会 第3分科会
◆委員(平井良人)
よろしくお願いいたします。
私からは,まず最初に観光の在り方についてお聞きしたいという風に思います。
観光と一口に言っても,これまでの,本当に京都の歴史や産業,人の営みがそれぞれ融合
して地域を形成したりとか町並みを形成したりしているということで,一夜に出来たもので
はないということは明らかだと思います。
決算実績報告書では旺盛な観光需要ということでされているんですけれども,観光政策
にしても,観光の在り方そのものの一環としてどういう政策を打つかということが問われて
いるということでありまして,海外の観光地でも,観光をメインに経済を動かす方向と,元
々のあるもの,既存産業や営みを,市民生活をメインに経済を動かす方向に分かれていると
いう風に僕は思っておりまして,現在の京都市の場合,私の見方では前者の経済政策にかじ
を切っているのではないかという風に感じるわけであります。基本の経済や生活の足腰を強
くすることが今のコロナの中でも極めて重要になっているのではないかと。
そのことは,僕自身は,まちそのものの保存,保全がされているかや,京都市で言えば,
職住一体の産業と町並みが重なり合って作られているかどうか。その周りの商店街は元気な
のかなどの指標によって京都市の価値が決まっていくのではないかという風に思っていまし
て,ここのところの状況,先ほどのやまね委員の話ではないですけれども,宿泊施設が表通
りを席巻すると。路地裏では,民泊と言うか,簡易宿所がたくさん出来ていくという状況で
ありまして,職住一体の地域も,そして表通りも含めて,町並みが大きく変わっているんじ
ゃないかという風に思っていまして,そういう中で,ヨーロッパではどういう風にやられて
いるかと言うと,町並みは保全をするという方向が当たり前としてやられていて,例えば,
1個の商店であっても,そこの商店の役割がある,価値があるということを認めれば,そこ
の家賃も丸々補助すると,本当に丸々保存していくということが色々されているわけで,そ
ういう中で,建物や産業が点々としているわけではなくて面でつながっていくと。だから,
観光地としての価値があるということで評価をされるということでありまして,そういう
ことが色々つながって循環を示すのではないかという風に思っていまして,こうしたことが
守られているのか,それとも,なくなっていっているのかということが今問われているんじ
ゃないかと思っていまして,伝統産業や商店街,製造に従事する方など,国の政策が本当に
非常に足りないと私は思っているんでありまして,こういうことと相まって,少し見ている
だけでも衰退しているんじゃないかと。こうした,産業や市民の生活そのものに光を当てて
発展の方向を指し示すことこそ,京都の観光の政策に,僕は,求められているんじゃないか
と思うんですけど,御認識はいかがでしょうか。
◎観光MICE推進室観光戦略担当部長(北川健司)
今後の観光の在り方,転換といった観点でございますけれども,現在の京都市におきまし
ては,コロナ回復期,及びその後の中長期的な施策の方向性,各種施策につきまして,観光
審議会において,次期観光計画の中に位置付ける必要があるというところから議論を行って
いるところでございます。
先生御指摘の点ですけれども,中でも,第1回の審議会におきまして事務局からの案を提
出させていただいているところでございます。京都が目指すまちづくりと観光という形の中
で,一つ目が,市民生活と観光との調和が図られ市民が豊かさを実感できることという風に
書いております。これは,正に職住の考えも踏まえまして重要な観点かという風に考えてお
ります。正に足腰を強くするという意味では,今後,より一層,持続可能な観光を進めてい
くため,今,各業界から御意見を賜っているところでございますし,これらは市民生活の観
点からも非常に重要であるという風な御意見を頂いているところでございます。
先ほどございました民泊につきましても,これまで,拡充・誘致方針の中で違法民泊への
取締りということでの取組を進めてきたところでもありますし,また,まちづくりとの連携
というところもございますので,関係部局と連携しながら進めてまいりたいという風に考え
ております。
◆委員(平井良人)
いつも言われるのは,民泊の場合は違法民泊の取締りということだけに焦点が当てられて
いるということなんですけど,じゃなくて,まちづくりそのものを見たときにどうなのかと
言ったら,路地裏も含めて宿泊施設だらけになっていると,それは土地の価値が安いからだ
ということになってくるわけでありまして,そういうところも含めて,京都の元々持ってい
るポテンシャルそのものを保全するというのは一つの方法だと思うわけでありますし,しか
も,そういう所は,ほったらかしと言ったらあれですけれども,既存不適格であるというこ
とも確かですけども,一方で,そういう昔の風景というのを残しているというのも明らかで
ありまして,こういう所が段々壊れてきているんじゃないかと。すり減るような観光であっ
てはならないという風に思うんですよね。だから,そういうことによって,元々やってき
た産業そのもの,新しい産業が出るということは別に当たり前でありまして,そこと町並み
をどう融合するかということも含めて,考えておられますけども,一定の領域で経済そのも
のがもうかればいいという方向がかなりあるので,こういう方向に押されているんじゃない
かという風に思っていますし,宿泊施設拡充・誘致方針そのものは宿泊施設を建てるための
ものなので,別にどういう土地が前提になるかは別個の問題でありまして,どこでも宿泊施
設が建ち並ぶという状況を作ってきたのではないかと。
そういう元々の京都市特有の産業や寺社仏閣などは,観光客から見えてこそ,町並み全
体が見えてこそ,京都市の元々の町並みでありますし,京都市の歴史に裏打ちされた奥深さ
を感じていただくということにつながっていくのではないかという風に思いますけども,そ
ういう京都の中でゆっくりとリピートしてきて,また来ていただくと。観光も循環していた
だくし,産業や人の営みも循環すると,例えば,衣食住でも循環をしていくようなサイクル
を作るということが必要ですし,京都市民そのものがちゃんと余暇を持って趣味などの活動
に,京都市内でも色々活動していくということなんかが全体の循環につながっていくんじゃ
ないかと。そういう足腰全体を強くしていくような観光政策が必要じゃないかという風に思
っていますし,そういう点,是非,求めたいという風に思います。
次に,決算で,京都経済の下支えということで産業に対する認識はそういうのをお持ちだ
と思うんですけど,僕は,視点は違って,本来は商売人と二人三脚で京都の経済を作ってい
くということ,京都市の経済を共に支えるという姿勢が大事じゃないかと思っていますし,
コロナ禍では,よりそういう側面が必要じゃないかなと思っています。代表質問の答弁でも
,商工会議所の2万1,635件という相談件数,前年の実績でありまして,これまでよりお声
をお聴きするようになっているということで,そういう対策がされて実態把握しているとい
うことでありましたけれども,例えば,商工会議所の相談の2万件のうち,これは累計なの
で,正味,何人の方が相談に来られているのかということは分かりますでしょうか。
◎地域企業イノベーション推進室長(松野光宏)
商工会議所におけます相談事業は年間2万件を超えるものでございます。これは,先生の
御指摘のとおり延べでございますが,実人員というのは,統計上は採っておりませんもので
,延べ件数だけの数字でございます。
◆委員(平井良人)
今,統計を採っていないということでありまして,じゃ,実際,何人の方がそこに来られ
ているのかということ,需要予測も含めて,どういう風になっているかというのをつかめて
いないということでありまして,これ,色々な分野ごとに見ると,伝統産業や商店街対策な
ども見えていない点が非常にあるんじゃないかなという風に思っていまして,こういう今,
コロナの中で苦境にあえいでいる産業界全体を見たときに,そういう基礎調査というのが本
当に必要じゃないかと思っています。資料で頂いた,商店街数2014年の,例えば,160商店
街から142商店街に減少していると。中でも,振興組合として成り立っているのは38商店街
しかないんですよね。だから,あとの104の商店街は任意組合になっていると。そういう
風にして商店街自身が力をなくしているということでありまして,全体的な聴き取りをやる
ということで今動かれていると思うんですけれども,そういう動きの中で詳細調査や,本当
に御用聞きになって,どういうことが求められているかというのを職員の皆さんが導き出す
ことが必要じゃないかと思っています。
伝統産業で言っても,伝統産業,京都市としては74品目ございます。そういう中で従事
されている人が,品目ごとに,例えば,つかめているのかとか,そこに組合が本当に実在す
るのかとか,売手だけじゃなくて作り手の組合もあるのかというのも含めて全体的につかむ
必要があるのかなと。伝統産業の中でも種類の中では技法がそれぞれあって分業があるわけ
ですから,作業としては無茶苦茶大変だと思うんですけれども,そういう中で京都市の伝統
産業の一翼を担っている人をちゃんと京都市自身が把握していくということが,僕は,大
事なんじゃないかなと思っています。
条例の中で地域企業条例,商店街振興条例,伝統産業活性化推進条例,三つ作られていま
すけども,どれも京都をこれまで支えてきた産業でありまして,こういう産業が今本当に窮
地に陥っていると。国の政策で見たときに,こういうものがなくなっていくという形を,そ
ういう風に見えてしまうんですよね。だから,本当に元気な所だけ応援したらええというこ
とではなくて全体をどう応援するかということが大事でありまして,そういうための調査が
,今は,部分はつかんでおられると思うんですよね。部分が,じゃ,どれだけの面をつかめ
ているかと言うと,一部分だという風に思っていまして,実態を大規模に,また詳細に調査
して中身をつかむということで分野にフィットした政策にすることが求められるんじゃない
かと思いますけども,最後,この点を聞いて終わりたいと思います。
◎地域企業イノベーション推進室長(松野光宏)
先生のおっしゃいました実態把握についてでございます。これについては,コロナ禍にお
きまして多くの中小企業・小規模事業者の皆さんが大変苦しい状況の中,生の声をお聴きし
て実態を把握するということは重要なことに考えております。これまで先生からもおっしゃ
っていただきました,商工会議所の2万件を超える経営相談,それから経済団体,業界団体
の皆さんとの意見交換,四半期ごとの調査,あるいは支援策サポートセンターによる相談,
こういったものを通じまして,あらゆる機会を通じまして皆様の実態把握に努めてまいりま
した。今後とも,こうした取組によりまして,できる限り,事業者の皆さんの置かれている
状況というものを把握していきたいという風に考えております。
◆委員(平井良人)
是非把握に努めていただきたいのと,調査をしたうえで,本当にどういう対策が求められ
るのかということをつかんだうえで,もちろんなかなか難しい政策判断というのもたくさん
あると思うんですけれども,そういう判断をできるような材料を是非皆さんでつかんでいた
だきたいと思います。
終わります。
「水道料金の減免制度について」
2020年9月11日 産業交通水道常任委員会
◆委員(平井良人)
よろしくお願いいたします。
減免制度についてですけれども,局の皆さん,態度は慎重に検討という姿勢のまま半年ぐ
らいが経過をしようとしていますけれども,コロナの感染拡大の中で長期化しているので,
市民生活が疲弊しているということは明らかだという風に思いますし,京都市に住んでいる
方々をはじめ,コロナの影響を受けている方々への支援はあらゆる角度で必要であるという
ことは,必要性はもう明らかになっていると思います。そして,やっぱり現在もその支援を
求められているということであります。
この間,厚生労働省が第5回の調査結果を出されて,全国的に減免を実施した自治体,こ
れは増え続けているという状況であります。減免を実施した水道事業者は403,実施を予
定している事業者78ということで,全体で481事業者が何らかの水道料金の減免をやって
いるという状況であり,全水道事業者の37.8パーセント,3自治体に1自治体はやってい
るという状況であります。
ところが,京都市の上下水道局は,質問の度に慎重に検討という姿勢を見せるということ
のみでありまして,例えば京都市総体でどういう話がされていて,どういう検討がされてい
るのかということも分かりませんし,全くされてないということも考えられるわけでありま
す。
上下水道局からは,そういう今の市民の生活に際して働き掛けを京都市に行っているのか
も分からないですし,財政面が厳しいということはもう別にずっと言われていることですけ
れども,そういう今のコロナ禍での損失補填なんかは国に求めているのか,減免制度の創設
を行いたいからという要望なんかを国に出しているのかという態度も,こちらから何も見え
ないわけであります。いわゆる様子見になっているということに私たちは見えてしまいます
けども,一体どのような検討でどのような動きを局としてされているのか,まず,ここの部
分をお答えいただきたいと思います。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
コロナによる水道料金の減免についての御質問でございます。
これまで申しておりますように,減免につきましては,我々公営企業でありますので,こ
の公営企業につきましては,皆様からの料金収入をもって賄う独立採算制を取っております
ので,この水道料金の収入が,この水需要の減少が続いております。さらに,このコロナの
影響によりまして減収が大きなものとなっております。
このような厳しい我々の財政状況の中で,その経営面,それから,今後に予定しておりま
す老朽化した管路の更新への影響等を踏まえまして,また,先ほどありましたように本市の
他の支援施策等の状況も踏まえて,慎重に判断する必要があるという風に考えております。
検討の状況でございますけれども,今,水道料金の減収につきまして申し上げましたけど
も,この4月から7月まで既にコロナによる影響と思われるもので,前年度から約5億円以
上の減収が見込まれるところでございます。この影響は,更にどの程度かまだ見込めません
けども引き続くものと思っておりますので,このようなことで減免するのは,なかなか今の
時点で判断は難しいと思っております。
また,国への要望につきましては,減免についてという要望ではございませんけれども,
今,我々の厳しい財政状況の下で,国の方としてもしっかりとした支援施策を充実していた
だけるような形で要望をしているところでございます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
今のお答えで言うと,あまり答えていただいてないんですけれども,京都市総体でどうい
う話がされているのかと。上下水道局だけでは無理だということでこの間お答えいただいて
いますので,じゃ,総体でどういう話がされていて,例えば今の上下水道局の減収に対して
はどういう手を打つのかということも非常に大きな命題でありますし,全国で減免制度をた
くさんやっているんだから,この減免制度に対してお金を国が出すべきだということも,主
張としては言えるという風に思いますし,上下水道局からの働き掛けというところではあま
り何も今のお答えでは見えないかなという風に思っていますし,慎重に検討じゃなくて,慎
重に後退しているんじゃないかと感じるわけでありますが,もう一度明確なお答えを頂きた
いと思います。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
まず,国への働き掛けにつきましてでございます。
国への働き掛けにつきましては,コロナウイルス感染症の影響の長期化が見込まれる中で
水道事業を安定的に運営するために,その拡大や収束の状況を踏まえながら,必要に応じて
適切な支援を行われたいという風に国の方には,本市だけでなくて他都市とも連携しながら
,また,大都市の水道事業体の会議の中でも要望しているところでございます。
また,市との関係でございますけども,国の交付金に対して水道料金についても使えると
いう風な方針も出ておりましたけども,本市におきましても様々な施策をする中で,効率的
な運用という形で現在のところ使われているところでございまして,今,水道料金の減免に
使うというところにはなっておりません。
また,他都市におきましては,確かにたくさんの都市が減免をされておられますけども,
一般会計の確かに繰入金等でされているという所がたくさんあると思われますけども,本市
の厳しい財政状況の中で,予算の財源を捻出するなどして補正されている中で,オール京
都として必要な施策を今実施しているところの中で,一般会計が今,上下水道料金に対する
減免に対して減収額を賄うことは,そういうことができる状況にはないのではないかという
風に考えているところでございます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
最後にないのではないかということで,推測の域なのかなと非常に思う答弁でありました
けれども。
水道法の1条には,水道の基盤を強化することによって,清浄にして豊富低廉な水の供給
を図り,もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とするという風に
されていますけども,こういう苦境に陥っているときだからこそ,市民の方々も猶予制度,
ある程度受けてはるわけでありまして,公衆衛生の向上,生活環境の改善に寄与するという
ことが求められている課題だと思いますし,その一つとして,料金の減免なんかは役割を果
たす措置だと私なんかは思っていますけど,その点はいかがでしょうか。
◎経営戦略室長(糸藤直之)
我々の水道事業が市民の皆様の水道を,安心・安全な水道を安定的に供給する,その使命
を負っていることはおっしゃるとおりでございます。その中で,我々の事業は,将来に向
けても今取り組んでおります老朽化した施設の更新に対する責任もしっかり取っていく必要
があると思っております。
その中で,今この状況の中でも減免するということは,実際には企業債の追加発行等が必
要となりまして,減免による負担を将来世代に先送りするということも考えられますので,
慎重に判断する必要があるという風に考えているところでございます。
以上でございます。
◆委員(平井良人)
はっきり言って,前提条件としての管路の維持管理なんかはもちろんそうだと思うんです
よね。それは日常の水道事業の中でももちろんやりますし,下水道事業の中でもやるわけで
ありますし,そういう前提だけで物事を言う時期なのかなという風に思っていますし,今,
経済状況を見たときに,やっぱり多くの方々が生活苦になるという可能性を秘めているわけ
でありますから,そういう前提の条件だけを見るということだけではなくて,国ともやっぱ
りきっちり話をして更に施策を進めていくという,このコロナ禍だからこそ,非常時だから
こそ何をするかというのをやっぱり考えていく必要があるかなという風に思いますし,水道
料金の減免制度というのはその一つじゃないかなという風に思いますので,引き続き求めて
いきたいという風に思います。
終わります。
「交通局関係の高速鉄道事業駅職員業務受託事業者の選定結果について」
2020年9月11日 産業交通水道常任委員会
◆委員(平井良人)
おはようございます。
駅職員の受託事業者の選定ということで,地下鉄8駅について5年間の契約ということで
ありまして,2026年までの駅職員の委託事業者を決めるということになると。
特に私が必要だと思う観点は,市民の皆さん等,安全で快適に地下鉄を御利用いただくと
いうことが一番の要素だと考えています。
まず,受託選定委員会は,4人の方,選ばれていますけれども,元々4人で決まった話な
のか,それとも,もう少し定数に余裕があるのか。それとまた,市民の方々,特に利用され
ている方々の意見はどのように反映されているのか,この点をまずお聞きしたいと思います
。
◎高速鉄道部長(土田稔)
この委員会につきましては附属機関という風に決められておりまして,条例に基づく委員
会でございます。条例の方で,委員の人数につきましては5人以内という風に定めておりま
す。
また,市民の御意見ということでございますけれども,今回の委員会につきましては,駅
業務という今私どもの直営でやっている業務,これをいかに事業者の方が安全,確実に正
確性を持ってやっていただくかということを審議するということでございますので,市民の
方の御意見を伺うということよりは,専門的な見地から正確に判断してもらうことが必要と
いうことで,この4名の方に現在委員をお願いしているところでございます。
◆委員(平井良人)
もちろん駅職員の業務というのは,一つは専門的な業務というのが非常に必要だという思
いは別にありますし,そういう構成というのが否定されるものではないですし,しかし,
一方で,その利用者という側面で見ると,やっぱり視点がかなり違うと思うんです。毎日例
えば御利用されている方とか,例えばちょっとずつ利用されている方も含めて,どういう
目線で見られているのかというのは色々あると思うんですけども。大体市民公募で来られる
というのはそういうことに興味がある方々で,ほかの選定委員会ならば,市民公募という形
も考えられていると思うんですけれども。
選定委員会の名簿を見たら,市民の方々というのはなくて,それぞれの分野の専門家が来
られているという印象を受けるんですけども。これまでも同じ枠組みだと思うんですけど,
この点,何か検証されたりとか新たな検討が加えられたりとか,そういう点はどうお考えで
しょうか。
◎高速鉄道部長(土田稔)
京都市附属機関等の設置及び運営に関する指針というところで,公募委員を選任しなくて
もよい附属機関の一つということで,特定の個人,企業,団体等に関する審査,意見聴取
等を行うもので特に専門性が高いものというのが挙げられております。
今回のこの審議内容ですけれども,今,委員がおっしゃられたような,例えば駅の業務そ
のものを審査するものでございません。駅の業務というのは,もう私どもが今直営でやって
いる内容がございまして,その決まった内容について,いかにその内容を受託事業者が自分
のノウハウを持って,安全性をきちっと確保して,正確に,なおかつ経済性を発揮して受託
していただくかということで,例えば受託事業者の経済状況,それから,その計画ですね。
正確に実施するための研修の在り方とかそういう計画性,それから,価格という経済性,こ
れ,正に専門的な知識でないと正確に判断できないような内容を判断していただいていると
いうことで,今回,この指針に基づきまして公募委員を入れてないと,そういうことでござ
います。
◆委員(平井良人)
駅職員業務について,駅業務そのものを審査するものだから,専門性だけでいいという観
点でやられているということですよね。先ほど言ったように専門性そのものを否定するわけ
ではなくて,もう少し視野を広げて色々な議論の中で,選定そのものは専門的な部分で点数
を付けられるわけですから,そういうところも含めてもう少し総合的にやるべきかなという
のは思っているところであります。
ただ,我が党は委託そのものにやっぱり問題があるという風に思っておりますけれども。
これまでも駅職員業務,内の党も報告事案に対してこれまでも質問させてもらいましたけれ
ども,やっぱり委託で行われているということで,こういうことを直営にした場合どのぐら
い財政面で変わってくるのか,これまでの検証も必要じゃないかと思うんですけれども。財
政面のみではなくて,委託の方々の働いている賃金や設備面で,設備はほとんど地下鉄です
けども,そういう諸条件でどういう風な比較ができるのか,こういうところを検証すべきじ
ゃないかなと思っているんですけど,いかがでしょうか。
◎高速鉄道部長(土田稔)
委託に際しまして,受託事業者の給与面とかの待遇につきましては,当然,法律に基づい
て正しく対処していただいているということでございますので,特に問題はないかという風
に思っております。
それと,財政面でございますけれども,例えばですけども,現状,東西線なんかでも委託
をされておりますけれども,大体一人換算にすると100万円以上ぐらいの年間にすると財政
効果が上がっているのではないかという風に考えております。
◆委員(平井良人)
もちろん地下鉄の財政状況そのものは,過去を振り返ればもう皆さんよく御存じなので,
そこがもう非常にウイークポイントになっているということで,直営を委託にされたという
傾向は知っておりますし,一方で,直営でどういう風にするかということもやっぱり考える
必要があるのかなと私自身思っています。
もう一つは審査結果についてですけれども,審査結果と一緒に審査内容についても資料を
頂いておりますけれども,審査結果は審査項目一つ一つ分かれているということにもかかわ
らず,申請者の状況,業務実施計画など,言わば大枠での点数配分で記載がされていると。
これではやっぱり詳細が,どの点で今回受託事業者を選ばれたのかという決定的な違いが,
市民の皆さんや我々議員にも類推の域でしか分からないということで,言わば一目見てぱっ
とどういう点でどう違ったのかというのが分かりにくいなという風に思っておりまして。
こういう大枠の審査項目ごとになぜ点数を出したのか,若しくは審査項目ごとになぜ点数
を出していないのか。議会で審議する際にも僕は見えにくい結果になっていると思うんです
けれども,この点はいかがでしょうか。
◎高速鉄道部長(土田稔)
今回,配点につきましては,ここにお示しをさせているとおりでございますけれども,そ
の詳細については,一応,非公表とさせていただいております。
これはどういうことかと言いますと,配点を事細かに表記してしまうと,この次また4年
後とかに審査委員会があるわけですけれども,そのときに業者の方が配点を読んで計算でき
てしまうわけですね。
私どもとしては,全く平たんな状態,どれもその配点が分からない状態の中から,その項
目に応じて事業者が最大限自分のノウハウを発揮して応募していただきたい,それを公正に
正確に判断していきたいという風に思っておりますが,もし配点を公表してしまった場合に
は,この部分で点数を何点取って,この部分はもう切り離しても大丈夫だねという風に判断
ができてしまう,事業者の方で。
そうなると,例えばですけれども,応募事業者から重く配点されているところへ自分の能
力を僅かにでも超えたようなそういう提案をされる可能性もなきにしもあらずということが
あって,正確な審査にそごを来すのではないかというおそれをちょっと私どもとしては持っ
ております。
そのため,項目については公表しておりますけれども,配点については,今,非公表と
させていただいておると,そういうことでございます。
◆委員(平井良人)
どうしても,全ての項目について点数配分が分かったとして,例えば今回の場合で言うと
,8駅中6駅で各一人ずつ,6人少なくした18人だったという事業者が選定から落ちまし
たよね。財政効果で見たときに,やっぱりその人件費というのは大きいものですから,そう
いうこととその全体像を見たときにバランスが取れるかと言うと,その選定をする際に,選定
項目,色々あるわけで,総合的に見ていくわけですから,そういう意味では,一つの項目に
そういう財政面を重視した選定の公募事業者,応募した事業者が出てきたとしても,そうい
うところで十分ふるいに掛けられるんじゃないかと思うんですよね。別に財政状況そのもの
を明かしているわけではないので,事業者のそういう秘匿する部分も守られるんじゃないか
という風に思っていまして。
僕らが見たときにとか市民の方々が見たときに,一目でこういう選定の仕方をしはったん
やなというのが分かるものでないと,選定をしている意味というのがもう一つ見えてこない
なというのを非常に今回の資料を見て思ったわけです。もちろん審査内容にかなり詳細に書
いてありますから,これで類推して次の事業者が得点を取るということは,僕はできると思
うんですけれども。
いずれにせよ,やっぱり一目で見えるような資料になっていくということに僕は矛盾がな
いという風に思っておりまして,そういう改善なんかが少し要るのかなと思っています。
総合してですけれども,元々直営から委託している理由というのは,先ほど言われたよう
に財政効果がでかいということは費用全体を低く抑えられるということなんだけれども,一
方で現場労働者のしわ寄せになったりとか安全環境への配慮のしわ寄せになっているケース
が非常にあるんじゃないかと思っているのと,交通局としては経済性の発揮ということが一
つの目的でありますけども,一方で,福祉の増進という風に両輪でやられているわけですか
ら,そういう一つ一つの委託にするという選択そのものをやっぱり今考える必要があるかな
と思っています。
選定については,先ほど言ったように,公平公正の観点から言っても市民や議員には不透
明さが残るなという風に思っていまして,改めて改善を求めたいですし,求めて終わりたい
と思います。
◎高速鉄道部長(土田稔)
今,先生の御指摘ですけど,今回につきましては,この別紙として審査内容を事細かに付
けさせていただいております。前回これは付けておりませんでしたけれども,これで一定皆
さん方に内容が分かるのではないかということで付けさせていただきました。今の御指摘も
踏まえて,もう少し分かりやすくというのは今後も検討はしてまいりたいと思います。
それから,経済性の問題ですけれども,今回,非選定事業者の方が安かったのは事実です
けれども,今おっしゃっておられたように,配置人員が少ない。要するに人件費が少なくな
っているから当然安くなるわけで,ここの部分だけでだから判断するということもできませ
んので,それは総合的に判断したということです。
あと,それから待遇面ですけれども,先ほども申し上げましたように,受託事業者には法
律の遵守を求めておりまして,受託事業者の職員への待遇につきましても,きちっと法律に
基づいた待遇をしていただいているという風に私どもでは認識しております。
以上でございます。
「高雄地域への均一運賃区間の拡大等について」
2020年8月21日 産業交通水道常任委員会
◆委員(平井良人)
先ほどもお話ありましたとおり,区間の拡大ということでありまして,長年の住民の皆さ
んの願いがかなったものだという風に思っています。これは評価されるものだなということ
で思っているわけでありますけれども,一つは,JRとの協議というのも結構大変だったと
思うんですよね。そういう状況の下で,一体決め手は何だったのかなというのが非常に思う
んですけども,まずその点,お聞かせいただきたいと思います。
◎営業推進室担当部長(大路健志)
今,お話にございましたように,JRバスさんの協議,これはかなり大変でございました
。運賃差が300円あったということが大きなところでございます。
しかしながら,我々といたしましては,均一運賃区間を拡大することによって,非常に分
かりやすい運賃体系になる,利便性が向上する,また,京都バスと今まで取り組んできた中
で,双方とも効果が上がっているということもしっかりとお伝えする中で,JRバスさんも
御理解の方が進みまして,この春からICOCAの提携によります共通乗車制度などもでき
ました。お互いに連携して,京都の交通を便利にしていこうという機運が高まりまして,今
回実現に至ったものでございます。
◆委員(平井良人)
だから,本当に運賃差そのものがずっと課題になっていたということでありまして,長年
の協議の中で,そういう運賃差も含めて説得できる材料ができて,機運が高まって,今回に
至ったということだと思うんですけれども,今回の中身は,市バス自身が新たに停留所を二
つ増やすということで,栂ノ尾までの方は,確かに便利になったという風に思いますし,先
ほど言われたように,運賃が大幅に下がるということになると思います。
ただ,一方,市バスの路線外,要は周山まで路線があるということになりますから,そう
いう状況の下で,その奥の地域ではJRバスのみになるということでありまして,ここはこ
こで,今,運賃の調整をどうするかというのがJRの中で検討されているということで聞い
ておりますけれども,それでもかなりの運賃格差となるということになるのではないかなと
思うんですよね。
今後の方向として,更に踏み込めるのかどうかというのがポイントでありまして,JRに
対して補助を一定されているということでありますけども,国補助を考えたとしても,かな
り厳しいということと,京都駅から周山まで行くと1,000円を超えるということになるので
,やっぱり,利用そのものも促進なかなか難しいんじゃないかなと。栂ノ尾までは利用促進
を考えたうえで,双方の利害がある程度一致するという形で組まれたと思うんですけど,た
だ,一方で,それ以降の奥の方は,更に均一運賃区間を増やす必要というのは,僕は今の
社会情勢から考えてもあると思うんですけれども,この点どうお考えか,教えていただきた
いと思います。
◎営業推進室担当部長(大路健志)
均一運賃区間が広がるというのは,理想ではございます。ただ,今の例も栂ノ尾から先は
JRバスの単独の運行区間になります。今回,JRバスの方では,一気に運賃が上がらない
ような緩和措置も考えているということで,ただ今監督官庁であります近畿運輸局の方と協
議はされているという風に聞いております。また,経営上の問題,それから運賃制度上の問
題,こういうものがございますけれど,これにつきましては,JRバスさんの方で,今後の
経営も含めて判断されることではないかなと考えているところでございます。
◆委員(平井良人)
それと,やっぱり,地域住民の方々がどう思われているかも含めて,よく聴き取る必要が
あるんじゃないかなと。もちろん交通局単体の話ではないと思うんですけれども,やっぱり
,JRバスの状況からすると,運賃が高いということはなかなか乗らないということにもつ
ながるのと,この区間の乗客数がどういう風な形になっているのかというのも,そういう
のはJRの方で見ていると思うんですけれども,やっぱり,先ほど言われたように,連携し
て,機運を高めていったという経過がありますから,もう少し何か検討が加えられないかと
いうのは非常に思うところであります。
あわせて,先ほども少し出ていましたけども,洛西・桂地域と横大路地域というのは,今
も調整区間ということで,高い運賃が残されているというのはずっと課題になっているわけ
でありまして,例えば西京区は桂駅から洛西支所まで行くのに240円掛かると。南春日町
まで行くということになれば420円掛かるということで,ここにも運賃格差が出ていると。
しかも,いつまでたっても,なかなか実現しないじゃないかということで,地域住民の方々
は色々思いをお持ちだという風に思います。この間は,せめてバスの1日券だけでも使える
ようにしてほしいというということも願いとして出されているわけでありまして,そういう
,京都市内で一円で同じ券種が使える,同じ料金で行けるということが,住民の方からは本
当に求められている点でありまして,この状況で言えば,格差を残している京都市自身が,
更に踏み込んで協議を重ねる必要があるんじゃないかなという風に思います。
西京の区間での協議というのは,いつも答弁,もう一つ具体的によく分からないので,協
議状況が本当に具体的にどうなっているのかというのは,是非教えていただきたいと。交通
局そのものが本気になっているのかどうかというのが,こちらには伝わってこないので,そ
の点,もう一度答弁いただきたいと思います。
◎営業推進室担当部長(大路健志)
桂・洛西地域につきましても,関係交通機関の方と協議をさせていただいています。以前
にも御答弁させていただきましたけど,こちらの地域につきましては,京阪京都交通,阪急
バス,ヤサカバスと3社ございます。それぞれにお話の方はさせていただいておりますが,
やっぱり,何遍も申しますが,経営の根幹に関わる普通運賃を変更するというのは,非常に
慎重になられていると。特に以前,会社が危機に陥った経緯でありますとか,会社の規模で
ありますとか,そういうことから,普通運賃をいじるというのは,非常に慎重にならざるを
得ないとおっしゃっているのは事実でございます。ただ,私どもといたしましても,今後も
引き続き粘り強く協議の方はしていきたいという風に考えております。
◆委員(平井良人)
JRとの関係で言うと,やっぱり,かなり,それ以上に運賃格差があったんじゃないかな
と思うんです。先ほど聞いたように,連携して,機運を上昇させてやったということですけ
ども。
今,聞いていると,別々に協議をしているということでありまして,一緒に協議できない
のかなというのは普通に思うんですけれども,同じ卓上で,やっぱり,それなりに話をどん
どんやっていくということで,今,乗客そのものがかなり減っていますから,そこをお互い
力を合わせてやる必要がありますし,そういうような経営スタイルなんかも,色々情報交換
をしながら協議を進めていく必要があるんじゃないかなという風に思いますし,やっぱり
,何よりも京都市民の皆さんが隅々で公共交通を使えるというのが当たり前の都市になると
いうことだと思うんですよね。そういう要望がずっと続いているわけでありまして,このお
願いにやっぱり応えるというのが,今,交通局に求められているんじゃないかなという風に
思いますし,その点を求めて,終わりたいと思います。