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コロナ禍における質問⑰

「観光の在り方について」「決算について」

 

2020年10月6日 決算特別委員会 第3分科会

 

◆委員(平井良人) 

 よろしくお願いいたします。

 私からは,まず最初に観光の在り方についてお聞きしたいという風に思います。

 観光と一口に言っても,これまでの,本当に京都の歴史や産業,人の営みがそれぞれ融合

して地域を形成したりとか町並みを形成したりしているということで,一夜に出来たもので

はないということは明らかだと思います。

 決算実績報告書では旺盛な観光需要ということでされているんですけれども,観光政策

にしても,観光の在り方そのものの一環としてどういう政策を打つかということが問われて

いるということでありまして,海外の観光地でも,観光をメインに経済を動かす方向と,元

々のあるもの,既存産業や営みを,市民生活をメインに経済を動かす方向に分かれていると

いう風に僕は思っておりまして,現在の京都市の場合,私の見方では前者の経済政策にかじ

を切っているのではないかという風に感じるわけであります。基本の経済や生活の足腰を強

くすることが今のコロナの中でも極めて重要になっているのではないかと。

 そのことは,僕自身は,まちそのものの保存,保全がされているかや,京都市で言えば,

職住一体の産業と町並みが重なり合って作られているかどうか。その周りの商店街は元気な

のかなどの指標によって京都市の価値が決まっていくのではないかという風に思っていまし

て,ここのところの状況,先ほどのやまね委員の話ではないですけれども,宿泊施設が表通

りを席巻すると。路地裏では,民泊と言うか,簡易宿所がたくさん出来ていくという状況で

ありまして,職住一体の地域も,そして表通りも含めて,町並みが大きく変わっているんじ

ゃないかという風に思っていまして,そういう中で,ヨーロッパではどういう風にやられて

いるかと言うと,町並みは保全をするという方向が当たり前としてやられていて,例えば,

1個の商店であっても,そこの商店の役割がある,価値があるということを認めれば,そこ

の家賃も丸々補助すると,本当に丸々保存していくということが色々されているわけで,そ

ういう中で,建物や産業が点々としているわけではなくて面でつながっていくと。だから,

観光地としての価値があるということで評価をされるということでありまして,そういう

ことが色々つながって循環を示すのではないかという風に思っていまして,こうしたことが

守られているのか,それとも,なくなっていっているのかということが今問われているんじ

ゃないかと思っていまして,伝統産業や商店街,製造に従事する方など,国の政策が本当に

非常に足りないと私は思っているんでありまして,こういうことと相まって,少し見ている

だけでも衰退しているんじゃないかと。こうした,産業や市民の生活そのものに光を当てて

発展の方向を指し示すことこそ,京都の観光の政策に,僕は,求められているんじゃないか

と思うんですけど,御認識はいかがでしょうか。

 

◎観光MICE推進室観光戦略担当部長(北川健司) 

 今後の観光の在り方,転換といった観点でございますけれども,現在の京都市におきまし

ては,コロナ回復期,及びその後の中長期的な施策の方向性,各種施策につきまして,観光

審議会において,次期観光計画の中に位置付ける必要があるというところから議論を行って

いるところでございます。

 先生御指摘の点ですけれども,中でも,第1回の審議会におきまして事務局からの案を提

出させていただいているところでございます。京都が目指すまちづくりと観光という形の中

で,一つ目が,市民生活と観光との調和が図られ市民が豊かさを実感できることという風に

書いております。これは,正に職住の考えも踏まえまして重要な観点かという風に考えてお

ります。正に足腰を強くするという意味では,今後,より一層,持続可能な観光を進めてい

くため,今,各業界から御意見を賜っているところでございますし,これらは市民生活の観

点からも非常に重要であるという風な御意見を頂いているところでございます。

 先ほどございました民泊につきましても,これまで,拡充・誘致方針の中で違法民泊への

取締りということでの取組を進めてきたところでもありますし,また,まちづくりとの連携

というところもございますので,関係部局と連携しながら進めてまいりたいという風に考え

ております。

 

◆委員(平井良人) 

 いつも言われるのは,民泊の場合は違法民泊の取締りということだけに焦点が当てられて

いるということなんですけど,じゃなくて,まちづくりそのものを見たときにどうなのかと

言ったら,路地裏も含めて宿泊施設だらけになっていると,それは土地の価値が安いからだ

ということになってくるわけでありまして,そういうところも含めて,京都の元々持ってい

るポテンシャルそのものを保全するというのは一つの方法だと思うわけでありますし,しか

も,そういう所は,ほったらかしと言ったらあれですけれども,既存不適格であるというこ

とも確かですけども,一方で,そういう昔の風景というのを残しているというのも明らかで

ありまして,こういう所が段々壊れてきているんじゃないかと。すり減るような観光であっ

てはならないという風に思うんですよね。だから,そういうことによって,元々やってき

た産業そのもの,新しい産業が出るということは別に当たり前でありまして,そこと町並み

をどう融合するかということも含めて,考えておられますけども,一定の領域で経済そのも

のがもうかればいいという方向がかなりあるので,こういう方向に押されているんじゃない

かという風に思っていますし,宿泊施設拡充・誘致方針そのものは宿泊施設を建てるための

ものなので,別にどういう土地が前提になるかは別個の問題でありまして,どこでも宿泊施

設が建ち並ぶという状況を作ってきたのではないかと。

 そういう元々の京都市特有の産業や寺社仏閣などは,観光客から見えてこそ,町並み全

体が見えてこそ,京都市の元々の町並みでありますし,京都市の歴史に裏打ちされた奥深さ

を感じていただくということにつながっていくのではないかという風に思いますけども,そ

ういう京都の中でゆっくりとリピートしてきて,また来ていただくと。観光も循環していた

だくし,産業や人の営みも循環すると,例えば,衣食住でも循環をしていくようなサイクル

を作るということが必要ですし,京都市民そのものがちゃんと余暇を持って趣味などの活動

に,京都市内でも色々活動していくということなんかが全体の循環につながっていくんじゃ

ないかと。そういう足腰全体を強くしていくような観光政策が必要じゃないかという風に思

っていますし,そういう点,是非,求めたいという風に思います。

 次に,決算で,京都経済の下支えということで産業に対する認識はそういうのをお持ちだ

と思うんですけど,僕は,視点は違って,本来は商売人と二人三脚で京都の経済を作ってい

くということ,京都市の経済を共に支えるという姿勢が大事じゃないかと思っていますし,

コロナ禍では,よりそういう側面が必要じゃないかなと思っています。代表質問の答弁でも

,商工会議所の2万1,635件という相談件数,前年の実績でありまして,これまでよりお声

をお聴きするようになっているということで,そういう対策がされて実態把握しているとい

うことでありましたけれども,例えば,商工会議所の相談の2万件のうち,これは累計なの

で,正味,何人の方が相談に来られているのかということは分かりますでしょうか。

 

◎地域企業イノベーション推進室長(松野光宏) 

 商工会議所におけます相談事業は年間2万件を超えるものでございます。これは,先生の

御指摘のとおり延べでございますが,実人員というのは,統計上は採っておりませんもので

,延べ件数だけの数字でございます。

 

◆委員(平井良人) 

 今,統計を採っていないということでありまして,じゃ,実際,何人の方がそこに来られ

ているのかということ,需要予測も含めて,どういう風になっているかというのをつかめて

いないということでありまして,これ,色々な分野ごとに見ると,伝統産業や商店街対策な

ども見えていない点が非常にあるんじゃないかなという風に思っていまして,こういう今,

コロナの中で苦境にあえいでいる産業界全体を見たときに,そういう基礎調査というのが本

当に必要じゃないかと思っています。資料で頂いた,商店街数2014年の,例えば,160商店

街から142商店街に減少していると。中でも,振興組合として成り立っているのは38商店街

しかないんですよね。だから,あとの104の商店街は任意組合になっていると。そういう

風にして商店街自身が力をなくしているということでありまして,全体的な聴き取りをやる

ということで今動かれていると思うんですけれども,そういう動きの中で詳細調査や,本当

に御用聞きになって,どういうことが求められているかというのを職員の皆さんが導き出す

ことが必要じゃないかと思っています。

 伝統産業で言っても,伝統産業,京都市としては74品目ございます。そういう中で従事

されている人が,品目ごとに,例えば,つかめているのかとか,そこに組合が本当に実在す

るのかとか,売手だけじゃなくて作り手の組合もあるのかというのも含めて全体的につかむ

必要があるのかなと。伝統産業の中でも種類の中では技法がそれぞれあって分業があるわけ

ですから,作業としては無茶苦茶大変だと思うんですけれども,そういう中で京都市の伝統

産業の一翼を担っている人をちゃんと京都市自身が把握していくということが,僕は,大

事なんじゃないかなと思っています。

 条例の中で地域企業条例,商店街振興条例,伝統産業活性化推進条例,三つ作られていま

すけども,どれも京都をこれまで支えてきた産業でありまして,こういう産業が今本当に窮

地に陥っていると。国の政策で見たときに,こういうものがなくなっていくという形を,そ

ういう風に見えてしまうんですよね。だから,本当に元気な所だけ応援したらええというこ

とではなくて全体をどう応援するかということが大事でありまして,そういうための調査が

,今は,部分はつかんでおられると思うんですよね。部分が,じゃ,どれだけの面をつかめ

ているかと言うと,一部分だという風に思っていまして,実態を大規模に,また詳細に調査

して中身をつかむということで分野にフィットした政策にすることが求められるんじゃない

かと思いますけども,最後,この点を聞いて終わりたいと思います。

 

◎地域企業イノベーション推進室長(松野光宏) 

 先生のおっしゃいました実態把握についてでございます。これについては,コロナ禍にお

きまして多くの中小企業・小規模事業者の皆さんが大変苦しい状況の中,生の声をお聴きし

て実態を把握するということは重要なことに考えております。これまで先生からもおっしゃ

っていただきました,商工会議所の2万件を超える経営相談,それから経済団体,業界団体

の皆さんとの意見交換,四半期ごとの調査,あるいは支援策サポートセンターによる相談,

こういったものを通じまして,あらゆる機会を通じまして皆様の実態把握に努めてまいりま

した。今後とも,こうした取組によりまして,できる限り,事業者の皆さんの置かれている

状況というものを把握していきたいという風に考えております。

 

◆委員(平井良人) 

 是非把握に努めていただきたいのと,調査をしたうえで,本当にどういう対策が求められ

るのかということをつかんだうえで,もちろんなかなか難しい政策判断というのもたくさん

あると思うんですけれども,そういう判断をできるような材料を是非皆さんでつかんでいた

だきたいと思います。

 終わります。

 

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