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2回目の代表質問に立ちました

以下、質問の全文と答弁大要を載せます。

 

住環境を守り、「住んでよし」の観光行政を
 中京区選出市会議員の平井良人です。日本共産党市会議員団を代表して質問します。
 はじめに、現在の観光をめぐる状況について質問します。
 政府の観光立国基本計画で、観光の原点とは、「すんでよし、訪れてよし」の国づくりを実現することにあると規定されていますが、この「住んでよし」が実感されてこそ、訪れたい京都になるのではないでしょうか。
 観光地として有名なバルセロナでは近年観光客が増え続け、人口の20倍近い観光客が訪れています。そのもとで騒音問題、土地や家賃価格の上昇などが起こっています。そこでバルセロナでは観光客の宿泊を目的としたマンションの固定資産税の引き上げやマンションの新たな認可をやめる考えを示しているなど事実上の「観光客抑制」に乗り出しています。
 同様に、京都市でも観光客の増大によって、住民が住み続けられない事態が進行しています。宿泊施設の乱立によってバブル期のように土地価値が異常に高騰し、固定資産税は上がり続けています。そうした中で、下京区のある学区ではこの間、土地の売買価格が3倍から4倍へと跳ね上がり、住民が立ち退きを迫られる事態となっています。また、東山区のある学区の自治連合会の総会では、参加者から次々と「民泊の対応に苦慮している」、「これ以上宿泊施設はいらない」と声があがり、総会の決議として、学区で非常事態宣言があげられています。
 政府は観光客を2020年には4000万人、2030年には6000万人という目標を持ち、京都でも440万人という過大な観光客誘致の目標を持ち、呼び込みやプロモーションを続けています。このもとで、京都でもこれまでにない混雑が起こり、観光客からは「観光地が見られない」、そして市民からは「バスに乗れない」など観光による弊害が起こっています。国と京都市による観光行政のもとで、市民の住環境を壊しているという認識はありますか。お答えください。
(市長)京都市は観光が地域経済に与える影響が極めて大きい。観光を通じて安定した雇用の確保や地域経済の活性化につなげると同時に、観光と市民生活との調和、安心安全が図られることが何より重要であると考えている。
観光による地域経済への効果と地域循環型経済について
 毎年行っている「京都観光総合調査」では、観光消費額が1兆円を超え、すでに2020年の目標を達成し、宿泊客が最高の1415万人を記録したことなど「質の向上の取り組みが実を結んでいる」と言いますが、経済効果については実証がされていません。産業交通水道委員会で観光による経済効果を指摘したところ、理事者は観光の「質を吟味する」と答弁されました。京都市民と経済にとって「質を吟味する」とは、幅広い中小企業や小規模事業者の方々の営業を継続・維持し、市民が安心して暮らせることにつながる観光政策ではありませんか。市長は、6月12日の記者会見において、この観光によって「京都市への税収には反映されていないのも事実」と自ら認めておられます。
 京都市と一般財団法人で共同調査した「宿泊業における雇用の安定に向けた調査研究」では、ホテル等で働いている方の非正規率が59.7%と高い割合を示しており、そのホテル等の経営は、外国資本や東京資本が主流となっていますから、儲けが地元に還元されず、地域経済の活性化にもつながっていません。非正規雇用の正社員化と地域経済の再生をめざすならば、正規雇用を宿泊業界でも大幅に増やす政策を実施するとともに大手や外資系ホテルの呼び込みではなく、地元宿泊業者の経営を支え、地域経済を循環させる仕組みづくりに転換すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。
(市長)観光事業での正社員化の促進については、閑散期と繁忙期の差を縮め、年間を通した安定雇用確保が大切。サービス業の労働生産性向上経営相談や従業員スキルアップセミナーなど、地元宿泊業を支え地域経済循環へ、ソフト・ハード両面で支援し、上質宿泊施設誘致制度でも地域の雇用創出を大きな柱の一つとしている。
違法「民泊」に対応する体制の強化と京都独自の規制対策を
 政府は住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法を成立させましたが、この法律は、宿泊業についてインターネットでの届け出も可能とするものであり、許可制を届出制へと緩和し、違法「民泊」を増やすものとならざるを得ません。また、住居専用地域や集合住宅への民泊も乱立する可能性は否定できません。
 この間、日本共産党市会議員団は、東山区への調査、マンション管理組合との懇談などで実態を把握した上で、9月11日に国土交通大臣、厚生労働大臣に京都の実態を踏まえ、要請行動を行いました。その場で明らかになったのは、自治体として規制は可能であるということです。京都市として、宿泊施設の管理者を24時間常駐させることや防火対策を消防関連法令に基づき遵守させることが必要です。また、住宅密集地や分譲、賃貸マンションなどの共同住宅・住居専用地域での民泊の禁止など、厳しい規制を行う決意を求めます。いかがですか。
 違法「民泊」問題では、この間も市民の方から「いくら京都市に電話をかけても宿泊施設の違法状態が改善されない」ことや「家の屋根にたばこを投げ捨てられている」など、苦情と悲鳴の声が山のようにあがっています。市長も「民泊の在り方検討会議」で「悲惨な状況。これで法治国家と呼べるのか」とまで述べておられます。医療衛生センターの体制を18人にし、機動的な体制をつくったとしていますが、違法「民泊」が激増するもとで市民への対応も各段に増えており、更なる体制補強が必要不可欠です。いかがですか。
 ここで、この間の簡易宿所及び宿泊許可施設数の推移をグラフで示します。2013年から2014年の1年間の推移では宿泊許可施設数は71件の増加で、そのうち簡易宿所は69件だったものが、年々増え続け、2015年から2016年の一年間では、許可施設全体で815件も増加し、簡易宿所は797件もの増加となっています。さらに2017年に入り、許可施設は急速に増え、わずか5ヶ月で366件と前年を超えるペースで増え続けています。まじめに運営管理されている許可業者がおられるもとで、その反対に旅館業法の許可を取った後に、帳場を置かず、番号キーなどになっている施設が多数存在していることをご存知でしょうか。こうした違法状態の簡易宿所などを改善するしくみは住民からの通報に頼らざるを得ない状況です。市として責任を持って、旅館業法に基づく再点検を行うよう求めますが、いかがですか。
 さらに、多くの市民の方々が、宿泊施設について「管理者がいつでもどんなときでも対応できることが必要だ」と、要望されているように、東京都の台東区や千代田区のように京都市旅館業法施行細則を改正し、営業時間中の常駐者を置くよう規定すべきです。いかがですか。
(市長)「違法『民泊』を許さない」との姿勢の下に、地域と連携し、指導・対策に全力をあげてきた。今年度の民間委託による調査結果も踏まえ、10月1日から2名を増員し、体制強化を図っていく。
 本市独自のルールを設ける条例制定や住宅宿泊事業法の施行準備を進めるため、民泊対策プロジェクトチームの中に、専門性の高いスタッフによる作業部会を新たに設け、有識者会議からの意見も踏まえ、議論・検討を深めていく。
 旅館業許可施設には、定期的な査察を実施しており、引き続き、着実に監視指導を進めていく。市は一定要件を満たす京町家の一棟貸し等を除き、条例で玄関帳場の設置を義務付けている。苦情対応など、管理のあり方も検討を進めていく。
経済センターへ入居できない中小企業関係団体への支援を
 次に、経済センター及び商業振興について質問します。
 まず、経済センターへの入居問題です。
 京都府は、現在四条室町で建設中の経済センターに、旧京都産業会館と西大路花屋町にある京都府中小企業会館を統合するとしています。知事の答弁では、府内の中小企業団体、経済団体への支援機能の集積を図るとしていますが、これまで中小企業会館に入居していた24団体は、現在の家賃が2倍から3倍になるため「入居できない」という声があがっています。産業会館でもこれまで入居してきた団体が、経済センターへの入居をあきらめています。施設を1つに統合し、縮小することがそもそも問題です。これまでの中小企業会館を閉館する理由に、老朽化と耐震化が挙げられていますが、入居団体が耐震工事専門企業に委託した独自調査では、3億9000万円の耐震施工で十分活用できることが明らかになっています。そこでお聞きします。中小企業会館そのものを耐震化、長寿命化し、多くの団体が路頭に迷うことのないよう、京都府に申し入れるべきだと考えますがいかがですか。
 経済センターについて、直接京都市が関わっているのは土地を所有しているということですが、京都府議会では「土地所有者の京都市に、できるだけ低廉になるよう交渉する」との答弁がありました。7月27日に入居募集の案内もされましたが、このまま入居できないということになれば、中小企業の発展に寄与し、京都市内の中小企業を支えてきた団体の発展を妨げることは明らかです。京都府同様、京都市が関わっている団体も多く、その多くの中小企業や団体は京都市内でがんばっています。土地の評価はこれからということで中小企業センターとも協議の場は持たれていないとのことですが、京都市として、経済センターに入居を希望する中小企業センターや旧産業会館に関わる団体が、これまでどおりその活動ができるよう、思い切った支援を行う立場で協議をすべきだと考えますが、いかがですか。
(産業観光局長)府の中小企業会館は、今回、京都商工会議所ビル、京都工業会館、京都産業会館とともに経済センターに一体的に整備される。
 中小企業会館に現在入居されている団体の、経済センターへの入居については、各団体の役割と実績を踏まえ、すべての団体が入居できる面積確保と、先行した入居受付が行われている。また、家賃額についても、公的な役割を果たす団体に対する低減措置が講じられ、適切に定められている。
地元商店街を応援し商業振興計画の策定と支援策の具体化を
 続いて、商店街振興についてお聞きします。
 引き続き、中小企業の営業とくらしは深刻さを増しています。商業分野における中心的な役割を果たしているのは商店街ですが、全国的に窮地に陥っていると言わざるを得ない状況が広がっています。京都市の商店街もこの間、160商店街から153商店街へと減り続けています。
 中京区にある「京都三条会商店街」は日本でも一番長いアーケードが設置された、距離にして約800mにも及ぶ商店街です。長年苦労をされて組合員数を増やしています。1980年代から1990年代にかけて組合員が減り、180店舗を割り込む状況から190店舗まで回復していますが、今後十年間で約30店舗が休廃業となると指摘されており、商店街の担い手についても世代交代が必要となっています。
 地元商店街である西新道商店街は、店舗数が激減し、住宅化が進んでおり、再生化・活性化の見通しが見えない状況となっています。
 一方京都市は、中央卸売市場第一市場用地の一部を使って賑わいゾーン計画の事業者を特定しました。その業者は東京本社の大手開発業者です。まちづくり、商店街対策に企画力と意気込みがあるというのが事業者特定の理由でした。市はこの賑わいゾーンの商業施設には、5億2千万円かけてお客を誘導するための通路をつくるなどサービスも過剰です。またこの事業者は、飲食店を中心に地元事業者を採用対象にするとは言っていますが、全国有名店も誘致するとしています。
 こういった商業施設には人が集まる仕掛けがつくられていますが、一方、周辺商店街対策の仕掛けなどは無策というのが実態ではありませんか。箱物と見栄えの良い商業施設を核にした地域づくりでは、地元を支える人たちへの支援を欠いたやり方といわざるを得ません。地元商店街の応援を本格的に行うことが必要であり、新駅へお客さんを誘導する通路の設置など、賑わいゾーン事業者への特別扱いはやめるべきです。いかがですか。
 中小企業庁の委託事業として2015年に行われた「商店街実態報告書」では、商店街の最近の景況について「衰退している/衰退の恐れがある」と回答した商店街が66.9%にも達しています。後継者に引き継がれず、空き店舗や住宅になるケースも続いています。この実態調査結果に基づき、新たな商店街政策の在り方検討会の中間取りまとめが今年度の7月5日に示されていますが、その検討の中では「中小企業庁だけでは全国の商店街全てに支援策を届けることは難しく、より商店街に近い存在である自治体や関係機関との連携が必要不可欠である。特に、基礎自治体は、地域経済の中で商店街が担う役割を考え、商店街と共に地域を創ることができる存在であり、重要な役割を担っている」と述べられています。
 一方、京都市は2011年に「京都市商業活性化アクションプラン」を策定して以降、計画期間が過ぎても、次のプランは示されていません。この「京都市商業活性化アクションプラン2011」は曲がりなりにも商業者の実態を明らかにし、京都の商業の果たす役割、地方自治体の役割についても述べられています。2017年から審議会として設置された京都市商業振興アドバイザリー会議の役割だけでは商業者の気持ちや要求に応えられるものとは言えません。商店街が衰退しているとあきらめている商店街が再生・活性化するには土台となる実態をつかむ必要があり、生活圏で踏ん張っている商店街を応援するために、その結果に基づく計画が必要であります。
 京都府では「商店街カルテ」という外部委託調査を行いました。その結果の一端をわが党府会議員団が資料にしていますが、京都市内の3分の2の商店街で店舗数とお客さんが減っており、商店街が成り立たない事態となっています。府の調査も参考にしながら、京都市として商店街のお店ひとつ一つの実態をつかむための調査をした上で施策を構築すべきです。いかがですか。またその分析に基づき、とりわけ店舗数やお客さんが長期間減少し、点在化しつつある商店街やすでに点在化している商店街の支援をするため、学識者や小規模事業者、市民の声をまとめ、計画策定と支援策の具体化を促進する体制が必要だと考えますが、いかがですか。
 以上、ここまでの答弁を求めます。
(岡田副市長)小売店や商店街の実態は、国や本市が実施する統計調査等の活用と、全ての商店街を訪問し聞き取り調査を行い、きめ細かな把握に努めている。商業環境の変化に対応するため、商業振興計画の策定ではなく、商業振興アドバイザリー会議による実施施策の検証や新規施策の立案等、商業施策全般の幅広い御意見をいただきながら施策を推進する体制を確立した。本年度は、役員や会員の高齢化等で担い手が不足している商店街と、大学やNPO法人等の外部団体との連携を促進し、「商店街縁結び事業」を実施している。
 賑わいゾーンに市が整備するのは、新駅から七条北側歩道に繋げる歩行者空間であり、これと賑わいゾーンを接続するテラスは事業者が設置するので、特別扱いではない。中央卸売市場第一市場や商店街のある七条通北側への大きな人の流れを生み出すという考えだ。
 旅館業法施行細則の改正については、営業中の管理者の常駐が市民の要望としてあがっているにも関わらず、その改正の判断は、市長からまともなお答えがありませんでした。あらためて求めておきます。
京都市独自に大学や専門学校等の奨学金制度創設を
 次に、大学や専門学校等の奨学金制度について質問します。京都府は今年度予算で「就労・奨学金返済一体型支援事業」を打ち出しました。この制度は中小企業支援を目的に、従業員への奨学金返済支援制度を設けている中小企業への補助制度として創設されました。現在、申請受付期間となっておりますが、適用される事業所は現在ゼロです。京都市は「その制度が中小企業に知られるように、PRする」との答弁をされましたが、どこから見ても京都市の後押しが見えないといわざるを得ません。京都府の制度内容では小規模企業ほど資金力がなく、制度を知ったとしても申請のしようがないというのが実情だと考えます。京都市は府と連携し、この一体型支援事業への財政的上乗せや小規模企業でも使える制度に改善すべきと考えますが、いかがですか。
 また、LDA、生きやすい京都をつくる全世代行動のみなさんは、今年度も粘り強く奨学金問題に取り組まれ、さらに深刻なローンと言われるような奨学金の実態が明らかになっています。京都のような中小企業が多いまちでは、資金力の乏しさから、補助金制度だけでは学生の貧困状況は放置されるだけではないでしょうか。1日も早く直接個人に給付される奨学金制度が必要です。市長は多くの学生や返済者の声を直接聞き、今こそ京都市独自の給付制奨学金制度をつくるべきです。いかがですか。
(岡田副市長)府の就労・奨学金返済一体型支援制度については、募集に先立ち、本市の経営者向けセミナーや経営支援員による周知を行っている。府と連携して周知啓発に努めていく。
 奨学金はまずは、国で充実が図られるべきだ。平成30年度予算の概算要求では、給付型奨学金をはじめ、奨学金事業の予算が増額されている。今後とも、国に対して要望していく。
ブラック企業・ブラックバイト対策の拡充を
 あわせて、ブラック企業・ブラックバイトの根絶について質問します。
 2016年4月には京都市でブラックバイト相談窓口が設置をされました。昨年度の市長総括質疑で副市長は「ブラックバイト対策協議会のアンケートでは4人に1人がトラブルに遭って」おり「市内10箇所の相談窓口があるがまだまだ知られていない」との答弁でした。そもそも相談窓口は委託であり、正社員も1人しかいないため、委託先任せになっています。今年度、この窓口を知らせるための紹介カードが3000枚作られましたが、周知するにはあまりにも予算が少な過ぎるのではないかと率直に思います。
 また、直接大学に赴き、大学3回生向けの労働法令セミナーとブラックバイトに関する相談会が行われています。学生のみなさんに広く労働法令の周知を行うことで、ブラックな状況に陥らないように更に守備範囲を広げる必要があります。市として、すべての高校生や専門学校生、大学生向けの労働法令セミナーと相談会を、大規模に行うしくみをつくるべきだと考えますが、いかがですか。
 正規労働者をはじめとし、労働者の労働環境の改善は急務の課題となっています。
 厚生労働省は来年度予算の概算要求において労働基準監督署の監督官を100人増員する方針を固めました。その理由は全事業所への指導・監督が仕切れず、全体の3%の事業所しか実施できない事態があるからです。
 そのもとで、京都労働局が府内企業対象に行った2016年度の監督指導で、対象359企業の内、月200時間を超える違法な時間外労働を6事業所で確認し、過労死リスクが高まるとされている月80時間超の長時間労働も144事業所に上っている状況です。これだけみても42%の企業で、労働者は過労死リスクを抱えて働いておられます。私は、このような長時間労働の状況が続けば、新たな過労死を生み出すのではないかと考えます。この実態に対する市長の認識を伺います。加えて、ブラックバイト対策窓口だけでなく、ブラック企業の相談窓口を雇用対策部所と合わせて設置し、ブラックな企業名の公表や実態を告発していくことを求めますが、いかがですか。
(産業観光局長)京都は徹底して人を大切にするまちであり、働く人を使い捨てにするブラック企業、ブラックバイトは断じて許されない。相談窓口は、市内10箇所あり、バイトや従業員の相談に応じている。悪質な事案は京都労働局が、調査・監督指導を行い、より重篤な企業名は公表している。
 市立の中学・高校では、労働者の権利や義務社会保障制度等の学習を行っている。高校では、ワーキングプアなど今日的課題や過労死など労働災害も授業などで取り扱っている。大学生には、大学を通じたチラシ配布、セミナーや出張相談会など啓発に取り組んでいる。
原発再稼働の集中立地問題、被爆想定は全市域へ拡大を
 次に、原発の再稼働問題と原発防災について質問します。
 福島原発事故から6年半が経過しました。今年の3月に実施した毎日新聞の全国世論調査では、原発の再稼動に「反対」との回答が55%、「賛成」の26%を大きく上回りました。
 また、原子力をめぐる状況は台湾や韓国で脱原発を打ち出す政治的決定が行われ、日本が有力な原発輸出相手国としていたベトナムも高コストを理由に原発計画を白紙に戻しました。世界が脱原発の流れになっているもとでも、関西電力は規制委員会の審査合格を受けて、6月に高浜原発3号機、4号機の再稼動を強行しました。今も福島原発事故の原因は解明されていない状況のもとで多くの方々が苦しみ続けています。
 高浜原発が立地する若狭湾は港を囲むように、廃炉予定のものも含む15基もの原発が立地する世界でも有数の原発過密地域です。複数の原発が同時にあるいは連鎖的に事故になれば甚大な被害が発生するのは明らかです。ところが、規制委員会の審査は個々の原発事故しか対象にせず、集中立地のリスクについては新規稼動の場合しか認めていません。しかし福島第一原発では、約12キロ離れている第2原発の原子炉も冷却機能を失い、緊急事態宣言が発令されました。
 一方、国のエネルギー基本計画の改定議論では、2030年度の電源構成目標として原発を20~22%とする方針を変えないとしています。そのためには全ての原発再稼動と古い原発の運転延長が不可欠となります。原発の集中立地及び40年を超えた原発再稼動のリスクははかりしれません。このままでは原発に依存する国に逆戻りし、原発災害の教訓がまったく活かされないといわざるを得ません。京都市は、規制委員会の再稼動へ前のめりの新基準にしがみつく姿勢をやめるべきです。いかがですか。
 京都市での避難計画はどうなっているかといいますと、京都市の「原子力防災の手引き」では、UPZ圏内以外の災害想定がされていません。また、安定ヨウ素剤の新たな備蓄がされていないなど原子力防災の手引きと本市の具体的な対応は、被爆の初期対応が想定されていません。
 兵庫県の篠山市は、「篠山市原子力災害対策ハンドブック原発災害にたくましく備えよう」という手引きをつくっているとともに、事前に住民に安定ヨウ素剤を配布しています。さらに全職員にハンドブックを研修し、住民向けの説明会がされています。京都市は、こういった取り組みから学ぶべきです。原子力災害の手引きの被爆想定を京都市全域に広げ、安定ヨウ素剤の全市民配布を行うべきです。いかがですか。
(危機管理監)やむを得ず原発を再稼働する場合には、国がその必要性を明らかにし、世界最高水準とされる新規制基準に基づく安全性確保に向け万全を期す。関西電力などが徹底した安全対策に取り組んだ上で分かりやすく周辺住民に説明し理解を得ることが重要だ。本市と関西電力で「大飯発電所に係る京都市域の安全確保に関する通報連絡等協定」を締結し、大飯発電所に係る地域協議会に参画。安全確保の議論を行っていく。UPZ内では安定ヨウ素剤の配布、迅速な情報伝達、避難等の原子力防災訓練、放射線等のモニタリングなど、原子力災害から市民を守るための防災対策に取り組んでおり、充実していく。
市バス京都バス一日乗車券カードの「値上げ」はやめよ
 最後に、市バス京都バス一日乗車券カードの適正化の名のもとに行われている、実質上の値上げに関わって質問をします。京都市は、市バス京都バス一日乗車券カードの値上げを大前提に議論がされ、現在の500円から700円へ値上げという結論を出されています。
 わが党が取り組んだ「バス一日乗車券値上げ」についてのアンケートには8月15日現在で152通の返信がありました。その声の一端を紹介します。「値上げされれば近いところしか行けなくなり、バスに乗りたくとも乗れません」「市バスの利用者が増え、黒字なのに値上げすることに納得いかない」「地下鉄沿線でない私たちがなぜ市バスの混雑緩和と地下鉄への誘導のために値上げされなければならないのか」など怒りの声が圧倒的です。また、敬老乗車証と効果は似ており、市内でバスが乗り降り自由となり、様々な場所に行くことができるため健康維持・増進、買い物客による経済効果、自家用車を使わないことで環境負荷の軽減にもつながります。
 交通局が値上げを理由にしているうちの一つは価格の適正化です。他の企画券と比べて、市バス京都バス一日乗車券カードの割引率が大きいといいますが、日本一高い初乗り運賃を市民に押し付けていることがそもそも問題であります。
 先ほどの声で紹介した通り、生活最低限で切り詰めて生活している市民にとって値上げは生活の足を奪うものとなりかねません。乗り継ぎも含めて日常生活で大変便利であり、収入が減っている方や少ない方にとって一日乗車券はかけがえのないものであり、公共の福祉の増進の役割を果たしてきているのが市バス一日乗車券です。
 また、市バスの混雑緩和をもう一つの理由に掲げておられますが、バス路線の拡大や増車、増便を行っていくことがまず実施されるべきです。ただ単に一日乗車券を値上げして、混雑緩和をするという説明だけでは、到底市民には理解されません。さらに、地下鉄沿線でない方々にとっては何のメリットもなく、ただの値上げということになるのではありませんか。公営交通を快適に使っていただくことを主眼におけば、価格による誘導ではなく、14年連続黒字のバス事業だからこそできるサービスのあり方を探求すべきであり、値上げはやめるべきです。市長の決断を求めて質問とします。ご静聴ありがとうございました。
(公営企業管理者交通局長)この間、赤字路線を廃止せず、増車も行ってきた。今回の価格見直しは、平成12年度に500円へと大幅に値下げしたカードが、均一運賃区間拡大や、京都バスでも利用可能となったことで、利用価値が格段に上がり、普通運賃に比べ極めて割安となっている価格状態を是正するためだ。併せて、市バス・地下鉄・京都バスの一日乗車券、二日乗車券の大幅な値下げを行い、地下鉄への誘導につなげ、市バスの混雑緩和の一助とする。この価格見直しに当たっては、市会での付帯決議を踏まえ、慎重な議論を行い、市民しんぶん各区版に「挟み込み」チラシを入れるなど丁寧な説明に努めてきた。

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